漫画「NARUTO」における人気キャラクターの一人でありながら、64巻でわりとあっさり死亡した日向ネジ。
多くのオタクがなんらかの作品で「推しの死」を体験してきたと思いますが、私にとって初めての「推しの死」は日向ネジでした。
ワンチャン穢土転生かなんかの術で生き返るかなという希望は打ち砕かれ、そのまま「NARUTO」は完結しました。
Twitterで誰かの推しが死ぬたびに、私はネジ兄さんを思い出し、虚ろな目でつぶやきます。
「ネジ兄さんはなぜ死んだのですか?どうして死ななければいけなかったのですか?」
この記事は、日向ネジ死亡に令和の今でも囚われているオタクの戯れ言です。
ネジ兄さんが死亡した理由について、自分が納得できるようにつらつら書き連ねたものなので、ご理解くださる方のみお読みください。
※目次を見て嫌な予感がしたらそっと引き返してくださるようお願い申し上げます。
日向ネジ死亡の理由として挙げられる説とは
ネジ兄さんの死亡に令和の今でも囚われているのは、きっと理由が納得できていないからだというのが私の自己分析です。
ならば納得できるまで突き詰めて考えてみようじゃないか!
ということで、いってみましょう。
日向ネジ死亡の理由として挙げられる説として、大きく下記の2つがあります。
- ナルトとヒナタの距離を近づけるため|作者公言
- ナルトとヒナタの恋愛成就に邪魔だったから
正直どっちも「ええ~~!?」という感じなのですが、それぞれ見ていきます。
ナルトとヒナタの距離を近づけるため|作者公言
日向ネジ死亡の理由は、「ナルトとヒナタの距離を近づけるため」だったと作者・岸本先生が公言しています。
私は見ていませんが、テレビ番組「漫道コバヤシ」にて、岸本先生は下記のように発言したそうです。
「ネジにはナルトとヒナタがくっつくためのキューピッドになってもらいました(笑)」
pixiv百科事典「日向ネジ」
ナルト自身がヒナタの存在を必要とするきっかけとして、ネジの死を描いた……ということのよう。
確かにナルトとヒナタの関係性でいうと、ヒナタは彼をずっと追いかける立場でした。
そのヒナタをナルトが自分の意思で必要とする、という流れを描くには、「大事な仲間の死を共に乗り越える」というシーンはうってつけ……なのかもしれません。
ヒナタとナルトの両方が特に大事に思っている相手となれば、自然とネジになってしまいますよね。
キバとかシノだとちょっとインパクトに欠けます。お互いに思い入れている描写が少ないですから。
とはいえ、このあとナルトがヒナタを恋愛対象として意識するまで、2年かかってるんですよ!
2年ですよ!2年!!
しかも完全に恋心を自覚し、結ばれるまでには、月の衝突により地球滅亡か!?ヒナタがライバルに奪われるのか!?みたいな大事件が起こっているわけです。
→映画「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」映画の事件が起こっている点を考えると、忍界大戦でわざわざネジが死ななくても、ナルトとヒナタはくっついたんじゃないのか……と、個人的には思ってしまいます。
では、ネジが忍界大戦後も生きていたとしたら、ナルトとヒナタの仲はどうなっていたのでしょうか。
ナルトとヒナタの恋愛成就に邪魔だったから?
日向ネジ死亡の理由としてネット上で見た意見に、「ナルトとヒナタの恋愛成就に邪魔だったから」という説がありました。
ネジが忍界大戦を生き残っていた場合、ナルトとヒナタの仲を進展させるとき、彼の存在が邪魔になるであろう、という意見のようです。
仮にネジがナルト・ヒナタの恋愛成就に邪魔になるとすれば、以下の理由が考えられます。
- 日向一族がネジ・ヒナタの婚姻を推し進めるから
- ネジがヒナタを恋愛感情で愛していたから
まずは1について。
日向ネジは天才でありながら分家の子、日向ヒナタは次期当主ながら落ちこぼれと描写されています。
ネジがどれほど日向一族の忍者として才能を見せようとも、分家である限り跡継ぎにはなれません。
しかし、ネジがヒナタと結婚すれば、当主の夫として宗家の一員になれる……のではないかと思います。
(この辺のお家関係がよく分からない!名家の事情って難しいね!)
日向一族は木の葉の里随一の名家ですから、恋愛結婚より、こういう政略結婚的な婚姻が優先されるのかもしれません。
ネジの才能が分家に埋もれてしまうことを残念がった一族の長老的存在が、ヒナタとの婚姻を推し進める……という展開もありそうですよね。
だから、ネジはナルト・ヒナタの恋愛成就の邪魔になる。なるほど、筋が通っている気がします。
でも待って。
次女のハナビがおるやんね???
結果として、本編完結時点でハナビが日向家当主を継いでいるはずです。ヒナタはナルトのところに嫁ぎましたからね。
そもそもヒアシは、長女・ヒナタに跡継ぎとしての素養なしと判断しており、次女・ハナビを集中的に鍛えていました。
この点は一族内でも周知の事実であるはずなので、長老たちがあえてヒナタとネジをくっつけようとする意味はないと思います。
ということは、もし婚姻に関する問題が忍界大戦後に発生したとしても、ネジがハナビと結婚すれば、ヒナタの恋愛は成就するわけです。
姉の恋愛成就のためにハナビが犠牲になるというようにも見えますが、日向一族が名家である以上、子どもたちは幼少期から恋愛結婚できないことを知っていそうな気もするんですよね。
日向家の長子であるヒナタに恋愛結婚が許されたのは、ナルトが四代目火影の実子という血筋であるうえ、忍界大戦の英雄になった点が大きいのではないでしょうか。
一族的には、ただ単に自由恋愛を許した感じとは少し異なるのではないかと思いました。
つまり、「ナルトとヒナタの恋愛成就に邪魔だったから」ネジが死亡する理由としては、不十分……と考えます。
そうなると、残る理由は2の「ネジがヒナタを恋愛感情で愛していたから」となります。
ネジはヒナタを恋愛として愛していたのか?
さて、ネジはヒナタを恋愛対象として愛していたのでしょうか?
中忍試験の時点では、ネジはヒナタ(ひいては父を奪った宗家)をバチバチに憎んでいました。対戦時は殺す気で追い詰めていますからね。
ヒアシによる謝罪・真相の告白で和解してからは、従兄弟として交流が復活しており、いっしょに修行していたような描写もあります。
(アニメではがっつり描写されています)
しかし、当然ながら、ネジがヒナタに対して恋愛感情を抱いていたというシーンは原作にありません。
おそらく今後も描写されることはないと思いますので、過去のシーンやスピンオフ漫画から、ネジの気持ちを推測してみたいと思います。
幼少期の第一印象から見るヒナタへの気持ち
幼少期にネジとヒナタは、お互いの父親たちによって引き合わされています。
そのときネジは頬を赤らめながらほほえみ、ヒナタが父の足に隠れるほどまっすぐ見つめていました。
さらに、そんなヒナタの姿を見て、「かわいい子ですね、父上」と父親に耳打ちしています。
ヒナタの幼さゆえとも考えられますが、2人の年齢は1歳しか違いませんし、当時のネジはヒナタを「かわいい女の子」と認識していたと見ていいでしょう。
ネジにとってヒナタは、自覚もできないほど幼い「初恋」だったのかもしれません。
スピンオフ漫画から見るヒナタへの気持ち
スピンオフ漫画「ロック・リーの青春フルパワー忍伝」で、ネジはかなりの「従兄弟バカ」になっていました。
公式スピンオフ漫画といってもほぼギャグマンガなので、本編におけるネジの気持ちを推測するには多少強引な気もしますが、一応本筋は押さえているので、参考にしてみます。
「ロック・リーの青春フルパワー忍伝」において、ネジは過剰なまでにヒナタを心配し、守ろうとしています。
ちなみにナルトへアプローチしようとするヒナタを妨害する話もありました。
この際「ナルトなんかと」と発言していたと記憶しているので、ヒナタの相手としてナルトは釣り合わない、みたいな認識ではないでしょうか。
とはいえ、ベースがギャグ漫画なので、ネジが「恋愛感情からナルトに嫉妬している」と判断するには、テンションが高すぎました。
どちらかというと、「兄的存在としてヒナタを守りたい」という感情が押し出されていた印象です。
擬似的シスコンという感じでしょうか。それはそれで兄妹愛に萌えやすい私としては美味しいですが、「ネジがヒナタを恋愛対象として愛していたか」という判断材料には、いま一歩足りません。
ここまでネジの気持ちを推測してきましたが、ヒナタへの思いを恋愛感情だと判定するには、まず「NARUTOにおける恋愛感情」を定義する必要があると思い、以下に続きます。
そもそもNARUTO世界における恋愛感情とは?
そもそも漫画「NARUTO」において、恋愛感情はどのように描写されているのでしょうか。
正直いうと「NARUTO」で恋愛感情が分かりやすかったキャラクターって、限られていると思うんですよね。そもそも恋愛漫画ではないから……というのは置いといて、シリーズを通して「愛」が描かれているために、あえて「恋愛感情」と区分けして解釈しようとするのが難しいというか。
個人的に「恋愛感情」の描写が分かりやすかったのは、サクラ・いの・リー、あとは暗号班のシホちゃんでしょうか。
忍界大戦後には、「えっその2人が結婚すんの!?」という組み合わせがくっつきました。いのとサイ、チョウジとカルイみたいな。
いのはいつ恋に堕ちたんでしょうか。カルイはいつチョウジに惚れたんでしょうか。いやもうさっぱり分かりません。
というわけで、正式に結婚した組み合わせのうち、本編で接点が明確に描かれているカップリングを見て、「NARUTO」における恋愛感情を独断と偏見で定義したいと思います。
ヒナタに見る恋愛感情
ヒナタの恋愛感情を言い換えると、「共に歩みたい気持ち」ではないかと思います。
ナルトへの気持ちは憧れから出発していますが、忍界大戦を機に「横に並んでいっしょに歩きたい」と思うようになっています。
また、映画「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」では、地球最後の日に一緒にいたい相手として、親でも妹でもなく、ナルトを挙げていました。
ヒナタにとって恋愛感情は、「気持ちを奪いたい」とか、「独占したい」というような激しい思いではなく、辛く苦しいときにそっと寄り添いたい気持ちを指すのではないかと考えます。
サクラに見る恋愛感情
サクラの恋愛感情を定義すると、「救いたい気持ち」ではないでしょうか。
もともとは少女らしい、ともすれば自分勝手な恋でした。「自分のものなってほしい」という気持ちが最優先。恋愛成就に邪魔なナルトの家庭事情を軽く見て、サスケの地雷を踏んだ過去もあります。
しかし、サスケが里を抜けてからは、まさしく「愛するがゆえ苦しむ」ほどに、感情が変化しています。
サスケには傷ついてほしくない。これ以上罪を犯してほしくない。苦しんでほしくない。
サクラにとって恋愛感情とは、救いたいという気持ちなのだと思います。
オビトに見る恋愛感情
ネジの恋愛感情に迫るには男性キャラクターのケースも必要だろうと思い、ここではオビトを取り上げます。
オビトにとってリンは、世界の光そのものであり、生きる理由であり、世界が終わるべき理由でもありました。多くの意味を含んでいる言葉ですが、それでも一言で表すとしたら、私は「己を差し出すもの」と定義します。
愛するリンの死がオビトに与えた影響は絶大です。長いこと暗躍し、忍界大戦を引き起こすまでに、オビトはリンのいない世界に絶望しました。
「仲間を大切にしない奴はクズ」だというほど心優しい少年だったオビトが、良心も人生も世界も、何もかも「リンがいる世界」のために差し出して、結果として悪人に墜ちる。
オビトにとってリンへの恋心とは、深い愛情であり、すべてを差し出すに値するものでした。
ネジはヒナタに恋をする可能性があったのか?
前項での独断偏見まみれ私的定義によれば、「NARUTO」で描かれた恋愛感情は、以下の要素を含んでいました。
- 辛く苦しいときに寄り添う
- 救いたいと願う
- 己のすべてを差し出す
それぞれ別のキャラクターから読み取った要素であるため、「満たしていれば恋!」とは断定できませんが、ある程度の根拠を持って推測できるのではないでしょうか。
さて、日向ネジは、これらの気持ちをヒナタに向けていたのか見ていきます。
寄り添う姿勢は無し
まず1に関してですが、これは原作本編では特に描写はなかったと思います。
日向ヒナタの人生において一番辛い時期とは、家族との確執があった中忍試験までだと思うのですが、ネジはむしろその頃バチバチに敵視していますからね。
ただ、アニメオリジナルストーリーでは、一時的に失明したヒナタへ寄り添う場面が描かれています。(第526話「心の目」)
とはいえ、アニメオリジナルストーリーを原作ネジの心情推察に使って良いのかは微妙なところ……。アニメオリジナルストーリーだけの話をすれば、キバだってナルトに嫉妬しているような描写がありましたからね。
というわけで、1については要素を満たしていないと判断します。
自己犠牲による救済の姿勢は有り
2と3については、ネジの死に様そのものが答えであると思います。
ネジは、ナルトへの攻撃をかばったヒナタごと守るため、身を投げ出しました。
「自分の命も、ナルトを守る命のうちの一つだったようだ」とネジは語りましたが、私にはそれだけには見えません。なぜなら、あのときネジがナルトを守らなくても、すでにヒナタが盾になっていたからです。
ヒナタが死に、ナルトとネジが生き残る未来もあったはずです。でも、ネジは己の命を差し出すことで、ヒナタの死をはねのけました。
救いたいと願い、己の命を差し出した。恋でなくとも、ネジはヒナタにある種の愛を向けていたといえるでしょう。兄妹愛なのかもしれないし、仲間としての愛かもしれませんが。
でも、もし忍界大戦後にネジが生き残っていたとしたら、その愛が恋に変わる日がきても、何ら不思議ではないと思います。
なので、私の結論としては、
こんな感じです。あくまでも私の持論ですが。
ネジは本当に死亡しなければいけなかったのか?
ここまで色々書いてきたものの、結局「ネジは本当に死ななければいけなかったか」と考えると、私としてはやっぱり振り出しに戻ります。
もし忍界大戦後にネジがヒナタに恋をして、三角関係になる日がきたとしても、ナルト・ヒナタが結ばれない理由にはならないと思うからです。
そうなったら、ナルトとネジが戦えばいいわけで、作中で最強キャラになったナルトがネジに負けるとも思えません。
え?恋愛のバトルを物理で片付けるなって?……そうなるとちょっと分からないですね
こんなふうに「あったかもしれない未来予想」ならいくらでもできるのですが、残念ながらネジは生き返りません。永遠の18歳です。
それでも、私はTwitterで誰かの推しが死ぬたびに、ネジ兄さんのことを思い出すでしょう。ネジの語られなかった思いを、ネジが歩むかもしれなかった未来を、考えずにはいられません。
64巻を読み終えたときの衝撃に、今でも囚われ続けています。きっと、ずっと、囚われています。
長い文章でしたが、読んでくれてありがとうございました。
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